金曜日, 10月 29, 2010, 07:12 AM
きのう、雨の中を、北伊勢上野信金の産学官コラボチームのアレンジにより、伊賀地方の二つの会社の視察に出かけてきました。１社は、廃車になった自動車の解体作業をするＯ社の自動車解体事業部、もう１社は、創業１３７年の老舗の味噌・しょうゆを醸造するＩ社の本社工場です。
両工場ともに、１時間ほどかけてじっくりと工場の中を回りながら仕事の中身の説明を受け、あとで事務所に入って代表者から経営方針や苦労話などを伺うということになりました。両社ともに、経営者ならではの大変味わい深い話をお聞きすることができ、感銘を受けました。
特に、解体事業部を視察させていただいたＯ社のＭ会長は、３０年前に中古車販売から始めた自分の「事業にかける思い」というのを熱く語られて、本当に感動しました。今までの事業での成功の報酬を、社会に還元したいという強い思いから、地球環境の保全に役立つという視点で自動車リサイクルの事業をやっていること、聖路加病院の日野原重明先生と親しく、モンゴルなどで、子どもたちへの地球環境保全の啓蒙活動にいっしょに取り組んでいることなどを話されました。
私が特に素晴らしいと思ったのは、次のような新聞記事を自ら読んで、「こういう１台１台の廃車になった車の持ち主の気持を考え、それを社員にもしっかりと伝えて仕事に当るようにしている」というところでした。私はまだまだ未熟で、学ぶべきことがたくさんある、ということを実感させられました。
「車との別れ 兵庫県 Oさん ６９歳 無職」
『この車ともいよいよお別れである。自動車やさんへ廃車の手続きを頼んでおいたところ、書類をそろえて近く引き取りに行くという電話が入った。亡くなった夫が大切に扱って毎日乗りこなしていた車である。乗る人はいなくなったが、すぐに処分する気にはなれなかった。
朝夕、車庫の窓を開け閉めするたびに眺めては、この車を元気に乗り回していたころの元気な夫の姿を思い出していた。そして、夫の分身のようなこの車を見るたびに、どんなに慰められてきたことか。でも、とうとう手放すときがやってきた。
思えば二年前、車検も済ませ、タイヤも取り替えて新しくして乗り心地がよくなったと喜んでいた直後、身体の不調を覚えて自分で車を運転して病院へ行った。ところがそのまま入院。夫はその後２０日余りであっけなく逝ってしまった。
あの朝、再びこの車に乗ることはないとも知らず、車の窓から手を振って「ちょっとみてもらってくるから」といいながら、笑って出て行ったあの様子が忘れられない。私も随分あちこちへと乗せてもらった。ありがとう。ごくろうさま。そして、さようなら。
いつか私がこの世でのすべての仕事を終え、あちらの世へ旅立つ日、夫はきっとこの車を運転して迎えにきてくれると思う。』
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水曜日, 10月 20, 2010, 06:36 AM
最近、大阪への出張回数が相当増えてきて、今日は水曜日にして早３回目。大阪に出かけて、お客さんと話していると、「仕事をしている」と云う気にはなるのですが、兼務している「営業本部長」としての仕事をして会社に貢献しているのか、ということをひとり厳しく自分に問い続ける毎日です。「プロ」としてのしごとになっているのかなあと。そうしたら、信用情報の「レーダー」という小文に「プロとアマの違い１３か条」というのが出ているのを発見しました。０か１００かということはないでしょうが、あなたも、自分がどっちにより近いかということをチェックしてみては？
�／祐崚�成長を求め続ける ｘ 現状に甘える
�⊆�信と誇りを持つ ｘ 愚痴っぽい
��常に明確な目標を目指す ｘ 目標が漠然としている
�ぢ梢佑旅�せに役立とうとする ｘ 自分が傷つくことは避ける
�ゲ椎柔�に挑戦し続ける ｘ 経験に生きる
��信じ込むことが出来る ｘ 不信が先にある
�Ъ�己訓練を習慣化している ｘ 気まぐれ
�┿�間を有効に使う ｘ 時間の観念がない
��成功し続ける ｘ 失敗を恐れる
��自己投資する ｘ 享楽的資金を優先させる
��使命感を持つ ｘ 途中で投げ出す
��出来る方法を考える ｘ 出来ない言い訳を口にする
��自分のシナリオを描く ｘ 他人のシナリオが気になる
金曜日, 10月 15, 2010, 09:05 AM
チリの鉱山に閉じ込められた３３人の人たちが次々と助け出される様子がテレビのニュースで流れています。落盤事故の後、地下６２０メートルの地点に生き残ったのも奇跡なら、生存者の存在を発見して国ぐるみでその救済に当ったこともまた奇跡的だと思う。世の中には、こんな劇的なドラマもあるんだということを、改めて実感しました。いつか、この救済の物語が映画化されるようなことがあったら、是非観に行きたいものだ、などと云っていたら、３３人の全員が救出された、というニュースよりも早く、映画化のオファーがすでにいくつもあるという話が話題になっていました。やはり、「事実は小説より奇なり」ということでしょうか。それにしても、事故に遭遇した３３人をまとめたというルイス・ウルスアさんのリーダーシップには強い賞賛の声が寄せられています。危機にあっても、自らが先頭に立って、状況を的確に把握し、仲間にそれぞれ分担して役割を担わせて冷静な行動を促し、パニックにならずに何日もいつ来るか分からない救助を待ち続ける態勢を築いた、というのは本当に並外れた危機管理能力といえるでしょう。ひとりの経営者として、見習いたいものだと思っています。このウルスアさんの愛読書がピーター・ドラッカーの「経営学」だったというのも、偶然ではないかもしれません。
藤井由幸
土曜日, 10月 9, 2010, 08:51 PM
尖閣に 正体見たり 中国よ！先月上旬、尖閣諸島の近海で中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりし、船長が公務執行妨害で逮捕・拘留されるということに始まった日本と中国との間の外交問題は、アジア諸国をはじめ世界中の多くの国からその成り行きが注目されることとなった。
日本は中国人船長の拘留を延長したものの、�．譽▲◆璽垢亮村租�対日禁輸、��温家宝首相による「追加的制裁」の言及、��フジタ社員の不可解な逮捕・拘束、などの中国側の圧力に屈した形で、船長を解放させられることになった。このことは、野党各党やマスコミの格好の餌食となり、内閣支持率は急落、菅内閣は窮地に立たされることになった、というのがこれまでの経緯である。
しかし、日本は、マスコミの伝える通りに屈辱的な譲歩を余儀なくされ、「三国干渉」以来の歴史的な外交的失態を演じた、というのが果たして本当の姿なのだろうか。私は、事実はそうではなく、むしろその逆で、日本としては最高の筋書き通りに事を運んだというのが実態に近いのではないだろうかと思っている。外交的な失態を演じたのは、むしろ、高圧的な態度を示し続けた中国の方であった、というのが後世の歴史家の見るところではないかと思う。
なぜならば、日本の抑制的な外交姿勢に比して、中国の傲慢ともいえる高圧的な外交姿勢は、南シナ海で中国と直接的な領土問題を抱える東南アジア諸国に、中国の領土的野心に対する深い懸念を想起させたことが、先ず第一に挙げられる。同時に、日本に対してレアアースを実質的に禁輸するという措置に及ぶに至っては、欧州各国からも、外交から本来自由であるべき経済活動を外交手段に用いる中国当局の姿勢に対して、強い違和感が実感されることになった。私は、このことが、中国当局の強い外交圧力にも拘わらず、反体制人権活動家の劉暁波氏がノーベル平和賞に選出される 'last straw' になったのではないかと感じている。世界第二の経済大国として相応しい民主的な統治体制を持つことを中国の現政権に促し、更に、広く世界の人々に「中国が非民主的な体制を取り続けていることは世界平和にとっての脅威である」ということを知らしめるのは、ノーベル平和賞の意義に正しく合致する思想である。「経済大国」の陰に隠れた中国の「民主主義とは相容れない社会体制を維持しようとする国家」という恥部を世界中にさらけ出すことになってしまったことは、中国の為政者にとっては、とてつもない外交的失態といえるだろう。
しかし、中国の指導者にとっては、一時的には、このような外交的失態は非常につらいことかもしれないが、尖閣諸島の問題を契機として中国の人権問題が世界中の注目を集めることになったという現実は、長い目で見れば、中国共産党一党独裁体制にとっても、そしてなによりも、中国国民にとっても、避けては通れない民主化への道筋の第一歩を踏み出すきっかけを作ったという意味で、歴史的に重大なエポックとなるだろう。これから中国が、本当の民主主義国家として世界のリーダーの先頭を切る日がやがて訪れることを、そこはかとなく期待したい。
藤井由幸
木曜日, 9月 23, 2010, 09:49 PM
厚労省の村木厚子元局長が大阪地検特捜部に逮捕・起訴されたものの、証拠とされた証人の供述や調書に根拠がないということで、無罪判決が下りた事件。その余波は、特捜部の主任検事の証拠ねつ造が発覚して逮捕されるという前代未聞の事件に発展してしまった。裁判員制度が始まってから、私は周囲にこう公言していた。「裁判員の候補として呼ばれたら、是非応じたいが、ひとつだけ条件を付けたい。それは、『被告人の供述調書は基本的に信用できない。だから、１００％の可視化が実施されていない限り、私は証拠として採用しません。それでも良ければ、裁判員として是非採用して頂きたい』と事前の面接の時に宣言する」
それは、鹿児島の選挙違反冤罪事件などもあるが、私自身の体験によって、警察というところは、テレビのドラマで見るようなカッコよく事件を解決してくれるところではなく、基本的には様々な刑事事件を彼らにとっての「事務」として、効率よくそれを「処理」する役所だということを思い知ったからに他ならない。
数年前に、私の会社の事務所が盗難にあい、夜中に事務所に置いてあった３００キロの金庫ごと盗まれるという事件があった。その後２，３日して、近所の裏山にウチの金庫らしいものが放置されているのが見つかったと警察から連絡があった。行ってみると、金庫のドアはバールか何かでこじ開けられていて、中に入っていた書類が辺りに散乱していた。幸いにして、現金は全く入っていなかったのでその被害はなかったが、銀行の株券だけが無くなっていた。そこで、警察にその内容を届けると同時に、弁護士と相談して盗難株式の名義変更がされないように、また、犯人サイドから何らかの接触があった時の対応ができるように、探偵張りに網を掛けておいた。すると、犯人グループから接触を受けたとみられる東京の金融会社の名前と担当の人物の携帯番号をつきとめることができたので、思い切ってこちらから電話をしてみた。「もしもし、オレだけど、あの○○銀行の株券はどうするの？」と聞くと、「ああ、リンさん？あれは、ちょっとやばいから駄目だ」と私の声を聞き間違えたらしい返事が返って、すぐに切れてしまった。
担当の刑事さんには、すぐにこのことを話して、携帯電話番号と金融会社の名前を報告したが、東京に行くでもなく、東京の担当警察署と連絡を取るでもなく、結局そのままうやむやのまま放置された。そうこうするうちに、株券の有効期間が切れて、「実害は壊れた金庫のみ」ということで、犯人不詳のまま事件は終わってしまった。
この間、被害届を始め、色々な書類を警察に提出したが、「犯人を見つけるのはむずかしいけど、実害がほとんどなくてよかったですね」という刑事の言葉を聞いて私は、「ああ、この人たちは事件を解決するのが仕事ではないんだ。事件の事務を処理することが仕事なんだ」ということを身にしみて感じた。というのも、私にとっては事件は終わっていない。いつ、また同じ人間にやられるかもわからない訳だから。私は、すぐにセコムと契約をして、動かない金庫を設置するとともに事務所の電子警備をスタートした。
この事件の教えるところは、事件の「事務処理」のためには何をしても許される、というところまではさすがにいかないだろうと信じたいが、警察といえども、チェックが働かない限りはどんどんとやすきに流れてしまうということだ。供述の可視化はその原点になるという思いを強くしている。
藤井由幸
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