金曜日, 6月 25, 2010, 08:45 AM
一昨日午後、津で開かれた政策金融公庫の講演会で天台宗僧侶の藤井妙法師の「成功の哲学」という講話を聞きました。とても感動したのですが、その一端を紹介しましょう。ありきたりの「成功の秘訣」のような話ではない師の講話は、自分の生い立ちからスタートします。藤井師は昭和２４年の大阪四天王寺生まれ。ご両親は明治生まれで、昔の尋常小学校４年しか学校での勉強をさせてもらえず、１０歳くらいからともに丁稚奉公という形で働き始めたということです。したがって、日雇いのような仕事にしか就けない両親の元での師の少年時代の生活は極端な貧乏生活。父親の給料は１０日で底をつき、自分が「犬にやる」といって小学校で同級生から集めた給食の残りのコッペパンであとの２０日間を食いつなぐと言う状態だったそうです。四天王寺の前で遊んでいた師は、傷痍軍人が門前で物乞いをするさまを見て、自分の貧乏生活とも引き比べて、世の矛盾を感じ、哲学や宗教に興味を持つようになったということ。
中学校では不登校になり、ろくに学校の勉強もせずに町の図書館で哲学の本を読み漁ったり、比叡山へふらりと修行に出かけたりしていました。そのために、中学２年生の時に落第するという経験もしました。そんな中でも、師の両親は自分が高校・大学へと進み、自分が志したい哲学の道を究めるのを何も言わずに支援してくれたと言います。師の父親が、病気を理由に仕事ももらえず、非業のうちに亡くなると、わずかな遺品の中から、尋常小学校４年の修了証書が出てきたと言うことです。「ああ、オヤジは丁稚奉公ではなく、自分が勉強をしたかったんやな。それで、オレに勉強をさせてくれたんや」と悟った。それからは、師の勉学に対する姿勢は劇的に変わったのだということです。
こういう意味では、師の父君は、極貧の生活ではあったけれども、志を持った人生の成功者だった、と師はいいます。金持ちになって、贅沢な生活をすることが成功者だと言う考えとはまるで違います。自分の仕事を誇りに思える高い志、強烈な使命感をもって、成功するまであきらめない不屈の意志を貫く人生そのものが人生の成功者といえるのだと師は説きます。うーん、なるほど、とうなってしまう。
最後に、「私は、○○するために生きています」ということを自分で考えてみな
さいと師が言う。
わたしは、「色々と苦境にある家族の心の平穏を実現するするために、どんなこ
とにもくじけずに、命ある限りとことん頑張り抜こう」と心に誓うのでした。
藤井由幸
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火曜日, 6月 8, 2010, 06:40 AM
週末に、やっと司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の文庫本、全８巻を読み終えました。テレビの大河物語りにつられて４０年以上前にに読んだものを読み直したのですが、青年の時には全く理解が出来なかったことに、今は、深く共感し感動することがたくさんあったのには、自分でもびっくりしました。薩長連合を実現し、大政奉還を成し遂げたあと、新政権（明治新政府）の概要を立案するところまで、坂本竜馬という幕末の風雲児が日本の未来を切り開いたと言っていい。幕末という革命前夜に、竜馬のような人物が現れ、活躍できたのは、本当に奇跡的なことだったんだと改めて実感しました。また、そのような人物に活躍の場を与えることができた日本という社会の懐の深さにも大きな感動を覚えました。
その大仕事を終えたあとの竜馬に、作者はこんなことを言わせています。
「おれは日本を生まれかわらせたかっただけで、生まれかわった日本で栄達するつもりはない。こういう心境でなければ大事業というものはできない。おれが平素そういう心境でいたからこそ、一介の処士にすぎぬおれの意見を世の人々も傾聴してきてくれた。大事をなしとげえたのも、そのおかげである。仕事というものは、全部をやってはいけない。八分まででいい。八分までが困難の道である。あとの二分はたれでも出来る。その二分は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。それでなければ大事業というものはできない。」
今、現代の日本においても静かに政変が起こりつつあるわけですが、この竜馬の言葉を、政権交代に大きな功績のあった小沢一郎さんにじっくりと味わって欲しいものだと思っています。
藤井由幸
日曜日, 4月 25, 2010, 01:23 PM
５年前に四日市市が隣接する楠町と合併して人口が３０万人を超え、中核都市としての要件を満たすことになったのは承知していたが、中核都市の企業に「事業所税」が課税されるということは、全く予想外だった。事業所税は床面積１千平米を超える事業所に対して１平米あたり６００円、さらに、従業員が１００人以上なら給与総額の０．２５％を市に納めなければならない。私の会社のような、２万平米もの広い建物を使わざるを得ない製造業では、最大年１千２百万円もの増税になる計算だ。この事業所税が、今年８月から四日市市にも適用されるということで、市の徴税部局から説明会があった。しかし、なぜそのような増税がこの不況時に必要なのか、何に使われるのか、増税を回避する努力は何かしたのか、明確な説明は全くなかった。むしろ、市にとっては当然のように増収となることを喜んでいるかのようだった。質問・意見を言うことが許されると、私はこのときの市の説明担当者に激しくかみついた。
「あなたは、税金を取ることを当たり前のように思っているようだけど、私は、そもそもこの事業所税の適用そのものが納得できない。今、中小企業の事業者やそこで働く人たちがどれほど苦労して仕事を守ろうとしているか、ということに思いを巡らしたことがあるのか。給料も、賞与も、もうこれ以上削れないというところまで削ってでも、なんとか働く場所を確保しようとしているのが現状じゃないか。市役所は、事業所税を財政赤字を埋める格好の財源とでも思っているのかもしれないが、それによってどれほどの雇用が影響を受けることになるのかということを考えるべきだし、もし、どうしてもそれを強いるのなら、自分たちのボーナスをカットしてから言ったらどうか。そもそも、失業のリスクもない赤字自治体の公務員にどうしてボーナスをもらう資格があるのか。」
とまで踏み込んで言うと、会場から拍手が沸き起こった。実は、この後個人的な交流関係もある田中市長にも、同じことを言って、何とか事業所税を課すことを避けることができないのかと直訴していたのだ。商工会議所なども、市内の中小企業者の圧倒的な要望を踏まえ、色々なルートでロビー活動をしていたようだ。
とは言っても、最終的に判断をし、議会や役所との調整という指導力を発揮したのは田中俊行市長の英断である。法に基づいて課税をすべき自治体が、条例を作って減免する、という全国でも初めての試みを実現させることになった市長の政治的指導力は、高く評価されるべきだろう。俊行君、これからもがんばれ！
藤井由幸
金曜日, 4月 23, 2010, 10:28 AM
きのう、業界団体の会合があり、経産省の来賓から、「繊維業界ももっと国際化を進めて、海外での販売に力を入れよう」という内容の講話があった。もっともなことである。いい話を伺ったということで、ホテルに帰り、M電工社製のシャワートイレに腰掛けてふと前を見ると、「シャワートイレの使用方法」なるものが英語で書かれているのが目に入った。
" Press to stop BACK or FRONT wash"
直訳すれば、「前後の洗濯を急いでやめなさい」かな。
なんのこっちゃ、と思って日本語の説明文を読むと
「お尻またはビデ洗浄を止める」
と矢印でストップボタンを指し示している。こりゃいかん。それなら、
"Press here to stop washing "
とでも書くべきだろうか。
その後の英語説明文のいずれも、受験を目指す高校生が一生懸命に和文英訳したという程度の、奇妙な英文が並んでいる。私程度の英語能力でも、とても外国人には理解されないだろうという｢英語」が堂々と印刷されている。
M電工社(今はP電工社）ともあろう会社が、｢新入社員がやりました」的な翻訳文を商品に添付するというのは一体どういうことだろうかと思った。本来は、お客様の利便を考えて、専門の外国人スタッフなり、専門業者に委託するなどして、十分吟味してから世に出すべきだろう。国際化を進めるということの第一歩は、文化や生活環境・制度・習慣が異なる外国のお客様をイメージして、真心を込めた対応を心掛けるということではないか。その際に、言葉に対する繊細さはとても重要だと思う。
昔イギリスの大学に学んでいたころ、学生たちの間で、日本のＦ社がヨーロッパで販売していたファコム（FACOM)という商品名の大型コンピュータのことが話題になったことがあった。おそらくは、Fxxxtsu Advanced COMputer か何かをもじった商標なのだろう。
だが、学生たちがにやにやしながら、資料の中に出てくるその名前を見るなり、
“ Oh my God! What a disastrous brand name!（ええ！一体なんてひどい名前だよう！）”
というので、どうしてだと問うと、答えは明快。
“It pronounces same as 'fxxk 'em'!”
「あの娘らを犯っちまえ！」と同じ発音だという。訊いた私の方が赤面してしまったということを思い出した。
その大型コンピュータが、ヨーロッパでよく売れたという話は聞いたことがない。外国で自社製品を売るのについて、この程度の現地の常識が分かる人をスタッフとして抱えるとか、ブランド名のリサーチをしておくとかする程度の努力をしないと、とんでもないことになるというのは明らかだ。これからは、私たちも、成長市場である新興国、とりわけ中国、インド、東南アジアの市場を意識したモノづくりを目指すわけだけれども、文化の違い、言葉の違い、生活習慣の違いということをきちんと踏まえたお付き合いをしなければならないと、便座の上で考えた次第である。
藤井由幸
日曜日, 4月 4, 2010, 09:58 PM
先週、金曜日の午後５時過ぎ、就業時間が終って家路に帰ろうとする社員の一人が、いぶかしげな顔で事務所に入ってきて、こう言った。「社長の家の門柱が傾いとるけど、何かに当てられたんとちゃう？」
驚いて、狭い道路をはさんで会社の事務所の向かいにある自宅に行って確認すると、なんと、コンクリート・ブロック製の門柱が、11時の方向に少し内側に傾いていて、しかも、一番上の部分には何かに当たったようなこすれた跡が残っている。また、その門柱の真上にあるカーブミラーは内側に９０度ねじれているではないか。安物とはいえ、当て逃げされるとは、くやしいではないか。
「今朝は何ともなかったのに、車にでもぶつけられたのかなあ。」
と言う間もなく、事務所の中から声が上がった。
「そういえば、昼過ぎくらいにトラックが(自宅に隣接する荷捌きスペースに）入ってきたときに、ガーン、っていう大きな音がしたわ！その時は、何か壊れたとか全くわからんかったし、運転手も何も言って来なかったんで、大したことなかったのかなと思ってた。」
「なんで、その時すぐにチェックしなかったんや！と舌打ちしたが、そういう私自身も、午後２時ごろに帰社してから何度も荷捌き場に行っていたのに、異変には全く気付かなかったのだから、うかつだったと言うほかない。午後の数時間の間、私も他の作業員や運転手も何度も門柱の前を行き来しているはずなのに、気付く気配がなかったとは、「人間なんて普段周りにあるものなどほとんど意識して観察することはないんだ！」と妙に感心してしまった。
しかし、その後の行動は機敏だった。
�．�ーンという音を聞いたという社員から、そのトラックの特徴や時間などを詳しく聞いた。
�⊃甘�たりの運送会社に、トラックの右側に傷をつけたと思われる該当のトラックがないか電話でチェックを依頼した。（が、この時点では｢該当する車はな い」という返事だった）
��コンクリート・ブロックの門柱が倒れかかって危険なので、出入りの業者に早急の補修を依頼した。
�さ�宅する社員の何人かに該当するトラックに気づいた者がいないか、聞いてみた。
そうこうするうちに、ある運送会社から、電話がかかってきた。
｢調べたんですが、ウチには該当するトラックはありませんでした。」
犯人探しはあきらめて、泣き寝入りしてウチで修理するしかないなと補修業者の来るのを小一時間ほど待っていると、意外にも別の運送会社の社長が頭を下げてやってきた。
「社長、分かりました！どうも、うちの下請けのＮ社の車がやったようです。誠に申し訳ありません。」
すると、そう言い終わらないうちに、補修業者とN社の社長、部長が相次いで到着した。皆で現場を確認に行くと、なんと、さっきまで少しだけ傾いていた門柱が倒れているではないか！それに、門柱が支えになっているブロック塀にもひびが入ってよく見ると少し傾いている。ただ、道路側ではなく、家の通路側だったので、一安心。すぐに、Ｎ社の部長が持ってきたトラックについていた傷の写真と門柱の傷の位置がピッタリ合っていることを確認した。運転手から会社への事故報告はなく、帰宅した後だけれども、時間が該当するので念のためにトラックの右側を自分がチェックしたのだという。
結局、その場でＮ社と補修工事業者とが直接やり取りをして、門柱とブロック塀の一部をすぐに補修するということになった。一件落着である。
でも、この事件、週末を挟んで月曜日まで待ってから動き始めていたら、きっと、ウヤムヤのままになっていたのではないだろうか。やっぱり、今日できることは何が何でも今日の内にかたつけておかなきゃアカンなあ、と思った次第である。
それにしても、そのトラックの運転手は、当たったことに気づいていたはずなのに、どうしてウチにも、会社にも報告しなかったのだろう。怖かったのかなあ。会社から厳罰を受けなければいいが・・・。
藤井由幸
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