月曜日, 6月 26, 2006, 06:35 AM - 2006年06月
きょうは、最近話題になっている日本銀行福井総裁の村上ファンドへの１千万円出資問題について、私が考えているところを述べておきたいと思います。結論から先にいうと、福井総裁はきっぱりと辞任をされたほうが、日本銀行にとっても日本経済にとってもいいのではないかと思っています。前任の速水総裁が拙速にゼロ金利政策をやめようとして、金融政策を混乱におとしいれ、「世界最悪の中央銀行総裁」と酷評されたのに対して、福井総裁は経済の実態をよく把握して、日銀の資金を銀行システムに大量に（数十兆円の単位で）供給することによって、デフレの進行を食い止めるという奇策を成功させ、日本経済が今のように少しずつ立ち直る素地をつくった立役者であります。そしてそのことで、世界中のエコノミストから非常に高い評価を得て、「世界最良の中央銀行総裁」とまで称されていました。
それだけに、福井総裁が油断したというか、悪魔の誘惑に乗ってしまったことは残念でなりません。世間では「村上ファンドで１５００万円ほども儲けたのはけしからん」と言っているようですが、私は、お金を儲けること自体が悪いことだとは思っていません。それよりも、�‖湿絅侫．鵐匹箸いζ淡�的なファンドに日銀総裁になっても投資をし続けた、ということがそもそもいけません。村上ファンドへの最低投資金額は、１億数千万円であったといわれるのに、わずか１千万円で投資ができたのは、当時「元日銀副総裁」という地位があって、村上氏がこれを利用しようとしたからに他なりません。実際、村上ファンドが少額の投資をうけいれたのは、ごく少数の高級官僚など限られた一部の人だけです。日銀総裁になるときにそのような特権的な投資を清算しておかなければ、「それはわいろに当る」といわれてもしょうがないでしょう。ほかに、��投資の運用益や今年２月になって解約した経緯などについてはあいまいな答弁に終始して、きちんとした説明責任を果たしていない。��小泉首相など、政府からの色々な擁護発言を招いて、日本銀行の政策の独立性を危機におとしめている、など、様々な余波が出てきてしまっています。
福井総裁がおやめになったら、次は誰になるのかとか、日本銀行が担っている金融政策の継続性がきちんと保たれるのか、などの不安要因はあるのかもしれませんが、「案ずるより産むが易し」といって、あとのことはなんとかなる。ここは福井さん、潔く身を引いて後進に道を譲った方が混乱も最小限に留まっていいと思いますよ。
晩節を汚すことなく道を退くというのは、組織のトップとして、たとえ私のような小さな企業の経営者といっても常に考えておかなければいけないことです。ましてや、日本銀行という巨大な権限と責任を持った組織の長は、「決して世間から疑いの目を向けられるような投資に手を出してはならない」という、一般の日本銀行職員向けの心得以上のモラルが求められるのは当然のことでありましょう。
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木曜日, 6月 22, 2006, 07:13 AM - 2006年06月
宿沢広朗さんの通夜式に参列のため、東京の築地本願寺に日帰りで行ってきました。数千人の参列者の中には、河野衆議院議長や、早稲田ラグビー部の清宮監督、平尾選手など著名人の顔もありました。そのなかに、ロンドン支店勤務時代の仲間が１０人ほどかたまっているのをみつけ、挨拶をしてきました。彼らは通夜がおわってから、みんなで弔いの盃を上げにゆくのだということでしたが、私は今日中に帰る必要があり参加できないと断って、残念ながらさっさと引き上げてきました。ただ、こうした古い仲間と出会うことができたのは宿沢さんのおかげだと、故人の縁に感謝した次第です。ところで、東京行きの新幹線でパキスタン人のイスラム教司祭と隣り合わせになったので、少し宗教観について話をしました。イスラムの教えの中で重要な、正しい行いをし、正しい生活習慣を守ると言う点については、日本人は８０点、パキスタン人は３０点だということで、自国民の堕落をなげいていました。ただ、日本人は宗教心が薄いことが問題で、どんな宗教であれ、自分たちよりも一段高いところにある「神」と言う存在に対する尊敬、おそれ、感謝の気持ちと言うのが日常生活の中であまり意識されていないのではないか、と言っていました。私は、「毎朝仏壇に手をあわせて、代々の祖先に感謝し、神棚に手を合わせて、今の自分の周りの人々や自然の恵みに感謝する気持ちを確認している」と答えておきました。あなたの宗教観はどんなものでしょうか？
水曜日, 6月 21, 2006, 07:11 AM - 2006年06月
中小企業金融公庫の取引先親睦会に出席して、東京工業大学のM教授という生物学者の話を聞きました。自分はあまり人のやらないような、人の役に立ちそうにないことをやってみたい、ということで「ナマコ」の研究を始めた、という変わり者です。でもこういう一見「ムダな」学者、学問が、日本文化の下支えになっていると思っていましたが、案の定とてもユニークなことをいわれます。「生命は、死ぬことによって時間の奴隷から解放される。つまり、一匹一匹の動物は、ナマコだろうが、ヒトだろうが、ゾウだろうが、心臓が１５億回打ったときに死ぬけれど、その間に新しい子孫を作ることによって、未来永劫の生存を確保するのだ」といいます。伊勢神宮の２０年ごとの式年遷宮は、この生命の原理に倣った素晴らしいシステムで、「そういう意味では神道は今にとらわれず未来を見据える画期的な宗教だ」ともいわれました。諸行無常、死んで生かす、という考え方は、「個」を重視するキリスト教の西洋文化にはない、東洋哲学の極みだと感じ入った次第です。
火曜日, 6月 20, 2006, 06:08 AM - 2006年06月
大きなニュースにはなっていませんが、きのうの国際捕鯨委員会（ＩＷＣ）で、四半世紀近くも続いてきた商業捕鯨の一時禁止という取り決めを解除する宣言が採択されました。私自身は子供のころに貴重なタンパク源として、堅いクジラの肉を食べた思い出があるだけで、いまや貴重品となった高価なクジラの肉を食べたいとは思いません。ただ、クジラは日本にとっては「食材」をこえた伝統文化になっており、四日市を初めとして全国に「鯨船」や「鯨祭り」など、クジラを神とたたえる行事が残っています。エスキモーや、バイキングのノルウェーなど、世界中の捕鯨国にクジラが生活の中心になっていた文化があることもまた事実であります。問題なのは、欧米の自然保護活動家といわれる人たちが、「クジラがかわいそう」という自分たちの価値観だけで、科学的根拠のない「保護活動」を展開していることです。
その結果おこっていることは、世界各地の「クジラ文化」をぶちこわしていることと、保護されたクジラが余りにも増えすぎて、えさとなったマイワシが貴重品になるなど、海の生態系を壊しつつあるということです。
欧米人、特にアメリカ人の自己中心主義というか、自国文化に対する優越感というのは救いようがありません。ブッシュ大統領がイラクに戦争をしかけて、イラク人の自尊心をずたずたに切り裂いてしまい、挙句の果ては自身の評価も落としてしまったのは自業自得としか言いようがありません。少数民族にもそれなりの誇りと自尊心、彼らの生活の基盤となる文化というのがあります。大国となればなるほど、それを尊重する義務と責任があると、私は思います。
日本も、国家として驕ることなく近隣の国々と接しなければなりませんし、個人としても、常に謙虚な気持ちを忘れず、弱い立場の人を大切にしてあげるという意識を持っていなければならないと思っている次第です。みなさんも一度、「少数派」について考えてみてはいかがですか。
月曜日, 6月 19, 2006, 07:05 AM - 2006年06月
おととい、前会長の父由弘の七回忌の法要を、平野相談役・小川さんはじめ親戚縁者の方々にご参集いただいて、拙宅にて営ませていただきました。父がなくなってからのまる六年というのは、私が藤井撚糸の社長を拝命してからの六年ということでもありますが、この間、わが社がここまで発展してこれたのは、親戚や取引先の方々はもちろんですが、社員のみなさんの頑張りによるところが大きいと思います。改めて、みなさんの努力に感謝したいと思います。きのうは、お取引先のT社長とゴルフを一緒にさせていただきましたが、その際、前日に心臓発作で急逝された、元全日本ラグビー監督の宿沢広朗さんのことが話題になりました。T社長は、「私も心臓発作で死に掛けたことがあるので、他人事とは思えないんです」と言っておられました。
宿沢さんとは実は、住友銀行のロンドン支店勤務時代に、同僚として席を並べて仕事をしていたことがあります。歳も近く(宿沢さんの方が私より2年上)、また、私の長男が彼の長男と同い年だということもあって、家族ぐるみで親しくつき合わせていただいていました。そのころは、宿沢さんがラグビーでそんなに有名な人だということはちっとも意識せず、現地の職員とラグビーチームをつくったり、ソフトボールのチームを作っていっしょにプレイを楽しんだこともありました。また、ゴルフも、力まないフォームで非常に上手かったことを記憶しています。
ただ、彼は非常に気さくな、人なつこい性格で、現地の職員からもとても慕われ、信頼も厚かったので、この人はちょっと他の人とは違うカリスマ性をもっているなと感じたものでした。その後は銀行内で順調に出世され、専務取締役になって、三井住友銀行グループの次期頭取候補の一人と目されている存在でした。諸行無常、一寸先は闇とはこのことか。道半ばにして倒れると言うのは、まことにご本人も無念であったろうと思います。せめて通夜式だけでも参列させていただけたら、と思っています。心からご冥福をお祈りします。
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