土曜日, 3月 24, 2007, 10:45 AM - 2007年03月
社員のＫさんが、「タイルカーペットを少し分けてほしい」
というので、
「社内販売は、特別に１枚○○円にしておきます」
と応じたら、
「実は、地区の子供たちを放課後に預かる学童保育所をボランティアで立ち上げて、ようやくできかかっているところなので、お金がないからできたら寄付してください」
という。Ｋさん自身も３人の元気な男の子を持つ若いママさんで、子育てには苦労をしていることを知っているので、普段から、会社としても何かと便宜を図っているつもりだった。ただ、給料以外の面で具体的にどうしてやれば子育てがやりやすくなるのか、なかなか分からずにいたところだ。私は、
「そういうことであれば、むしろ、喜んで寄付させていただきたい」
といって、早速、１２０枚ほどのタイルカーペットを、施設を運営する代表の方に取りに来ていただいた。
この代表者というのが、本社近くの旧東海道沿いにあったスーパーＨの若旦那のＳさん。わざわざ、後で改めて御礼に来られた。
「地域での子育て支援の取り組みに、地元の企業が出来ることを協力させていただくのは当然のことだ。あなたの方が、大変立派な活動をしておられるのだから、これから是非頑張ってください。私もあなたのおじいさんに小さいころ可愛がってもらった。１枚５円のコロッケを、おなかが減ってそうな顔をすると、５円しかなくても２枚出してくれたのを今でも覚えている。子供っていうのは、地域の人たちのそういう小さな愛情で支えられて、ようやく立派に育つんやないかと思う。」
といったら、
「良い理解者を得た」
といたく感激してくれた。
このＳさんは、近くにコンビニや大手スーパーが出来たあおりを受けて自分の経営する店を締めざるを得なくなった後、大学に入りなおして教員免許を取り、今は鈴鹿の小学校の教員をしているということで、またまた、その頑張りに感動してしまった。人間っていうのは、気持ちさえあれば、すごいパワーを発揮するんだなあ、と感心することしきりだ。
新しい学童保育所は、４月１日に開所式を迎えるそうですが、こうした施設がYさんたちのような、強い意識を持った地域の人たちに支えられて、子供たちやその家族のみなさんのために、立派に運営されていくことを願っています。それにしても、行政はこうした地域の取り組みに、積極的に関与してくれているんだろうか？
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木曜日, 3月 22, 2007, 06:34 AM - 2007年03月
先週の日曜日は、卒業４０年を迎えた四日市市立山手中学校の同窓会でした。皆、いいおじさん、おばさんになっていましたが、やっぱり、女性の方が若々しくもあり、元気もいいようでした。密かに恋焦がれていた幼なじみのＫさんと久しぶりの再会を果たせて大いに話が盛り上がったのは良かったのですが、後で自宅に電話を戴いたときに私が不在で、家内と長々と話をしたようで、家内から「あの人とはどういう関係？」と追求されたのには参りました。ただ、商売をしている社長たちの話を聴くと、ちっとも景気がいいとはいえない。やれ首切りだ、転業だなどと、苦しい本音が漏れてきました。「景気がいい」というのは、一体どこの国の話かなと思ってしまいました。
とはいうものの、私が声楽をかじっているというのを聞きつけた８０歳になる老音楽教師Ｉ先生が、自分がピアノを弾くからどうしても私に、「荒城の月」を歌えというので、舞台に立って独唱してしまいましたけれど、他の人にはいい迷惑だったんじゃないでしょうかねえ・・・。実は、このＩ先生が中学校の音楽の時間に、いかにベートーベンの「第九合唱」が素晴らしいかを教えてくれたんです。『その初演のときには、ベートーベン自身が指揮を取ったのですが、合唱団は第一楽章からずっと立ちっぱなしで、第４楽章の出番のときには倒れる団員も出たということでした。でも、合唱が終わったときには、演奏会場は、割れんばかりの拍手喝采だったけれども、耳が不自由になっていたベートーベンはその音が聞こえず、オーケストラの団員に促されて客席を振り向いて、ようやくその歓声に気づいたのだよ』というようなことを聞いたのです。『そのお話をずっと覚えていて、４０年近く経ってからようやく、いつかは挑戦してみたいと思い続けていた「第九合唱」をはじめたのですよ』とＩ先生にお話したら、本当に感激してくれました。
一人、大幅に遅刻して、月曜日に着いたという男がいます。ニューヨークから、雪のために飛行機が飛ばず、一日遅れで参加したのはNくんです。Nくんは、名前の一部をもじって「ガキさん」と呼ばれていましたが、そのあだ名の通り、「ガキ大将」で、気性の荒い暴れん坊でした。ただ、人に迷惑を掛けるような悪さはしませんでした。まあ、勉強の方は、本人も「全然でけへんだ」といっている通りでした。僕は、自分で言うのもなんですが成績はよかったのですが、不思議と「ガキさん」とは気が合って、校庭の隅のほうで話し込んだりしたものでした。お互いに、自分にないものを持っている相手に何か惹かれるものがあったのかもしれません。
その後の「ガキさん」の消息は全く知らなかったのですが、彼は３２年前、２３歳のときに単身ニューヨークに渡り、調理などの修行を積み、今やかの地で５つの日本食レストランを経営する大富豪です。日本のテレビや雑誌にも何度も採り上げられていて、ニューヨークの日本人社会では知らない人はいない「レストラン伊勢」のオーナー・シェフという出世振りです。今回は、東京への出店を検討しているので、その打ち合わせを兼ねて帰省したということでした。「今は、昔と違ってメチャメチャ頭を使ってるぞ」と元気に言っていました。
学校というのは、これだから面白い。何も、学業成績がいいことがすべてではありません。学校は、色々な能力を秘めている子供たちが大きく羽ばたくゆりかごですから、いじめっ子も、いじめられっ子も、明るい子も、暗い子も、どんな子でも大事に育つようにしなきゃいけないのだと思います。ひとりひとりの子供は本当に大きな才能を秘めているんですから。・・・え、藤井撚糸はどうなんかな？人間性が豊かになるような社員教育をやっているかな？自問自答の日々が続きます。
日曜日, 3月 11, 2007, 10:18 PM - 2007年03月
大変残念に思っています。安倍首相が従軍慰安婦問題についてのアメリカ議会による非難決議採択の動きに対して神経をとがらせ、旧日本軍の組織的な関与を否定するような発言を国会で繰り返しています。これに対して、日本のメディアでは反応が鈍く、ほとんど「ニューヨーク・タイムズ」の記事についてだけしか報道されていませんが、アメリカをはじめとして、イギリス、オランダ、中国、韓国など、世界各国で非難の嵐が起こっているのです。このままでは、最も親密なはずの米国との関係もおかしくなりかねません。「国益」を語る政治家たちが、なぜ、このような発言をする総理を「殿、ご乱心めさるな」と諫めないのか不思議でしようがありませんが、予断をぬきにして、ロンドン・エコノミスト誌のこの件に関するかなり手厳しい批判記事の全文（訳責筆者）をご紹介しましょう。
『３月８日付け ロンドン・エコノミスト誌 （トップ記事のひとつ）
安倍さん、慰安にはなりませんよ
――日本の首相が、何千人もの女性に対する組織的な性的虐待の事実に対して、恥ずべき戦いを挑もうとしている
６ヶ月前、日本においては政治的には小粒の、退屈な人がリーダーとなるのが常であるのに、例外的な権力委譲が歓迎された。つまり、自信家で改革派の小泉純一郎首相から、自己主張が強く、一見能力を秘めた継承者の安倍晋三氏への総理大臣の地位の禅譲である。小泉氏は日本経済を不況の淵から引き上げることで、海外の尊敬を勝ち取った。日本は昨年、望んでいた国連安全保障委員会の常任理事国の地位を得ることに失敗したが、外交官や援助従業者、それに（多すぎず、かつ少なすぎない数の）陸、海、空の兵士が、アジア、アフリカ、中東のトラブル・ゾーンに定例的に派遣され、その活動が評価されている。安倍氏は日本という「美しい国」に対する国民の誇りを高めようと語った。
それは、その通りである。しかしながら、安倍総理に期待を寄せていた人にとっては誠に残念なことに、総理は日本の過去について、事実を捻じ曲げたまま、未来に誇りが持てるものと思っておられるらしい。
安倍総理は、スタート時点では十分に将来有望と思われた。中国や韓国に対しては、非常に微妙なアプローチを採ることによって、小泉氏が戦没者の追悼ということで執拗に靖国神社（ここには、遺族の要請によって、Ａ級戦犯の魂も合祀されている）への参拝を繰り返したことで傷つけられた両国との関係を概ね修復したのである。ところが先週、こうした信用を一気に台無しにするようなことをしてしまった。安倍氏は、旧日本帝国の戦時の歴史的汚点というぬかるみに、自らの足を踏み入れてしまったのである。彼は、旧帝国陸軍の管理する売春施設に集められた２０万人ほどの（韓国、フィリピン、中国、台湾、インドネシア、ビルマ等からの）「従軍慰安婦」たちが、本当に性的な隷従を強制されたのだろうか、という疑問を投げかけたのである。厳密に言うと、安倍氏は、そのような証拠はない、と言ったのである。
彼は、まさか耳が不自由ではなかろうに。１９９０年代になって、何十年もの恥辱を経て、勇気ある女性たちが沈黙を破って語り始めた動かぬ証拠が山のようにある。更に多くの女性たちが、米国下院の公聴会において最近になって証言している。そして、下院においては日本に謝罪を求める決議が採択されようとしているし、また、その下院では、犠牲者が戦時下の性的隷従が彼女らにとってどれほどつらい体験であったかということが、述べられているのだ。日本の過去の何代もの政権が資料を放棄したり廃棄したりしていなければ、より多くの証拠が明るみに出てきたであろう。
なぜ、このような恥ずべき戦いを挑むのか？安倍内閣の様々な不祥事のために、安倍総理は党内のうるさ型のタカ派勢力に頼らざるを得なくなってきているのではないか。戦時下の侵略性について、過去に慎重な言い回しで謝罪していることにさえ反発して、一部の議員グループは、当時の議会には不評だったものの、従軍慰安婦への軍の関与を初めて認めた１９９３年の河野談話を覆そうとしている。
その買春宿の生き残りの人たちが望んでいるのは、日本の心からなる謝罪である。彼女たちは、日本の民間財団からの資金提供によってはぐらかされることを拒否している。彼女らの証言に疑問を投げかけることによって、つまり、実質的には彼女らをうそつき呼ばわりすることによって、安倍氏は、いわば過去の傷に塩をぬっているようなものだ。更に、悪影響は広がっている。彼の言動はまた、日本の近隣諸国に不信感をよみがえらせている。そして、組織的な性的虐待の犠牲者である「従軍慰安婦」と同様の戦時のトラウマに苦しんでいる人々の、世界中の危険地域にあるコミュニティを再建しようと懸命の働きをしている賞賛すべき日本人の努力をも矮小化する。
残忍な過去と向き合うことに抵抗があるのは、何も日本だけではない。中国は安倍氏の発言を激しく非難しているが、中国共産党は、例えば１９５０年代に自ら招いた飢饉によって３千万人の人民が死んだことについての責任を認めようとしていない。しかし、６０年の時を経て、故意の記憶喪失は現代の民主国家日本にはふさわしくない。安倍総理よ、恥を知るがいい！』
月曜日, 3月 5, 2007, 08:30 PM - 2007年03月
今日は、株価が大暴落。上海がくしゃみをしたくらいで、東京が強烈なインフルエンザに罹るとは、全くもって情けない。どうして日本の投資家は、やれ上海だ、やれニューヨークだなどと、外ばっかり見ているのだろう、とあきれるばかりのうろたえぶりではないか。日本の投資家は、もっと主体性を持たなきゃダメだ。と、その暗い株価暴落のニュースを7時のＮＨＫテレビで見ていたら、続いて報道されたニュースに、また怒りがこみ上げてきました。それは、国会の参議院質疑のニュースとして報道されたもので、
�ー�民党の片山虎之助氏が、支持率の下がってきた安倍総理にエールを送る一方で、総理が「支持率にはこだわらず、思い切った改革を進めていく」と応ずる場面、
またそれに続いて、
�∩輙�が「民主党の小沢代表が事務所経費として13億円を資産購入に当てたことは、正当な支出といえるか疑問」と述べる場面です。
前にも申し上げたことの繰り返しになりますが、�，蓮�安倍総理の「改革姿勢」を強調するために与党と官邸との間で予め作られた「やらせ質問」であることは、疑いの余地がなく、正常なジャーナリズムにおいては、ニュース価値は全くないといえるでしょう。また、�△鯤麁擦垢襪里任△譴弌⊂�沢氏本人、あるいは民主党からの反論を同時に伝えるのが公正な報道なのではないでしょうか。
� ↓△諒麁擦里気貶�を見れば、一見して官邸或いは自民党筋からの意向に沿ってこの報道がなされたことが分かります。あれほど、政治と公共放送のあり方が問われ、ＮＨＫはその批判の矢面に立っているはずであるにもかかわらず、このような、露骨に政権に擦り寄る報道をするとは、全くあきれるばかりです。ＮＨＫという組織のどこかの部分が腐っているといわざるをえません。この腐った膿を出し切らない限りは、ＮＨＫの再生はありえないでしょう。
それにしても、民主党の方も、どうしてＮＨＫのこうした「与党キャンペーン」報道に抗議しないんしょうねえ。ＮＨＫという強大な公共電波を政府･与党のキャンペーンに独占されていては、政権奪取も夢のまた夢だと思うのですが･･･。
月曜日, 2月 26, 2007, 09:24 AM - 2007年02月
きのうの日曜日に、久しぶりにお伊勢参りに行って来ました。いつもそうですが、内宮の玉砂利の参道は、一歩一歩踏みしめて歩かなければなりませんし、うっそうとした杉の木立の中にいると、それだけで歴史の重みを感じ、心が洗われることにもなります。参道の入り口の大鳥居をくぐり、五十鈴川に架かる木製の大橋を渡ってから本殿に着くまでの１５分ほどの道のりは、しばし古代の別世界に居るような幻想を与えてくれます。伊勢神宮は、古来「式年遷宮」といって、２０年ごとに本殿を隣の敷地に作り変えるといういことをやってきました。今から６年後の平成２５年には、６２回目の遷宮が行われるということです。つまり、伊勢神宮が出来てから１２４０年になるということです。気の遠くなるような歴史と伝統がそこにあります。この式年遷宮という儀式は、木造建築の老朽化という無常を補うと同時に、宮造りの技術を次の世代に伝承し、発展させ、また更には、伝統的な儀式への参加を通じて地域の人々の神々に対する敬愛の心を育むことにも、大変役立ってきたのだろうと想像します。古代人の知恵には、まったく頭が下がるばかりです。次回の遷宮の準備は、「御木曳き」など、もう既に始まっているといいます。一生の間に数度しか見られない悠久の儀式を、近くでそっと見守っていたいと思っています。
ところで、前日の土曜日は、夕方から、志摩のスペイン村のすぐそばにある「伊勢志摩ロイヤルホテル」というリゾートホテルに一泊したのですが、志摩半島の美しい景色を見下ろす１２階の展望レストランで日曜日の朝食をとっていると、隣のテーブルの老夫婦とウェイトレスとの会話が耳に止まりました。
「伊勢神宮にお参りするのにはどれくらい時間がかかりますか？」
「そうですねえ。ここから外宮さんまで３０分くらい。駐車場はすぐそばにあります。ここは２０分くらいでお参りできますが、内宮さんへ行くのは日曜日は結構込みますので、距離はないんですが、２、３０分は見てもらわないといけません。内宮さんのお参りは３０分くらいはかかりますし、『おかげ横丁（内宮門前の、赤福などみやげ物商店街）』も散歩していただきたいですから、まあ、全部で３時間くらい見ていただいたらゆっくり回っていただけると思います」
１＋１＝２ です、というひとつしかない算数の答えと違って、ここは色々な答え方のある質問でしたが、このウェイトレスの答えには感心しました。お客様の質問の主旨をとらえた、完璧な答えでしょう。しかも、展望レストランという場所で、お客様にも給仕する方にも「時間のゆとり」というのがないと、こういう受け答えは出来ません。まだ、３０を少し過ぎたばかりと思われるウェイトレスに、これだけの答えをさせるのは、本人の資質なのか、ホテルの教育の良さなのかななどと、ちっとは経営者らしいことも考えてしまいました。
こんなホテルが近くの湯の山温泉あたりにもあったらいいのになあと思うと同時に、私たちも、ＴＰＯ（時と場所と折）を考えた仕事が出来るように、普段から訓練をしておかなアカンなと思ったしだいです。
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