月曜日, 2月 26, 2007, 09:24 AM - 2007年02月
きのうの日曜日に、久しぶりにお伊勢参りに行って来ました。いつもそうですが、内宮の玉砂利の参道は、一歩一歩踏みしめて歩かなければなりませんし、うっそうとした杉の木立の中にいると、それだけで歴史の重みを感じ、心が洗われることにもなります。参道の入り口の大鳥居をくぐり、五十鈴川に架かる木製の大橋を渡ってから本殿に着くまでの１５分ほどの道のりは、しばし古代の別世界に居るような幻想を与えてくれます。伊勢神宮は、古来「式年遷宮」といって、２０年ごとに本殿を隣の敷地に作り変えるといういことをやってきました。今から６年後の平成２５年には、６２回目の遷宮が行われるということです。つまり、伊勢神宮が出来てから１２４０年になるということです。気の遠くなるような歴史と伝統がそこにあります。この式年遷宮という儀式は、木造建築の老朽化という無常を補うと同時に、宮造りの技術を次の世代に伝承し、発展させ、また更には、伝統的な儀式への参加を通じて地域の人々の神々に対する敬愛の心を育むことにも、大変役立ってきたのだろうと想像します。古代人の知恵には、まったく頭が下がるばかりです。次回の遷宮の準備は、「御木曳き」など、もう既に始まっているといいます。一生の間に数度しか見られない悠久の儀式を、近くでそっと見守っていたいと思っています。
ところで、前日の土曜日は、夕方から、志摩のスペイン村のすぐそばにある「伊勢志摩ロイヤルホテル」というリゾートホテルに一泊したのですが、志摩半島の美しい景色を見下ろす１２階の展望レストランで日曜日の朝食をとっていると、隣のテーブルの老夫婦とウェイトレスとの会話が耳に止まりました。
「伊勢神宮にお参りするのにはどれくらい時間がかかりますか？」
「そうですねえ。ここから外宮さんまで３０分くらい。駐車場はすぐそばにあります。ここは２０分くらいでお参りできますが、内宮さんへ行くのは日曜日は結構込みますので、距離はないんですが、２、３０分は見てもらわないといけません。内宮さんのお参りは３０分くらいはかかりますし、『おかげ横丁（内宮門前の、赤福などみやげ物商店街）』も散歩していただきたいですから、まあ、全部で３時間くらい見ていただいたらゆっくり回っていただけると思います」
１＋１＝２ です、というひとつしかない算数の答えと違って、ここは色々な答え方のある質問でしたが、このウェイトレスの答えには感心しました。お客様の質問の主旨をとらえた、完璧な答えでしょう。しかも、展望レストランという場所で、お客様にも給仕する方にも「時間のゆとり」というのがないと、こういう受け答えは出来ません。まだ、３０を少し過ぎたばかりと思われるウェイトレスに、これだけの答えをさせるのは、本人の資質なのか、ホテルの教育の良さなのかななどと、ちっとは経営者らしいことも考えてしまいました。
こんなホテルが近くの湯の山温泉あたりにもあったらいいのになあと思うと同時に、私たちも、ＴＰＯ（時と場所と折）を考えた仕事が出来るように、普段から訓練をしておかなアカンなと思ったしだいです。
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火曜日, 2月 20, 2007, 05:55 PM - 2007年02月
きょうのライオンズクラブ例会で、四日市市教育委員会の方（中学校の教諭からの出向者）から、「青少年の非行の現状と補導活動について」という講演がありました。いいお話だったので、ご紹介します。＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
１．最近の小中学生の補導の統計を見ると、２年連続で「深夜ハイカイ」が「喫煙」を上回ってきていることに衝撃を受けている。つまり、家庭における子供への生活習慣のしつけがだんだんと崩れてきている、ということが大きな原因なのだ。
２．深夜の１１時、１２時に、幼児を連れてゲームセンターに入り浸ったり、買い物をしたりするという親がいるということが、テレビ番組に採りあげられ、問題視されているが、このような親は論外としても、子供部屋にテレビを置いたり、家族との約束事(使用時間制限や有害メールへの対処法など）なしに、むやみに子供に携帯を持たせたりする親がいるのは困ったもの。こういう家庭では、一家の団欒というのがなくなって親子のコミュニケーションがうまくとれていないのではないか。
３．こうした家庭の状況を踏まえて、四日市市では、「はやね、はやおき、朝ごはん！」という市民運動をやっている。三重大学のＨ教授の研究でも、朝ごはんをきちんと食べるグループ（Ａ）と、きちんと食べないグループ（Ｂ）の子供とでは、以下の点で、大きな違いがある。
�ー�分なんかいない方がいいと思うことがありますか？ Ａ：Ｂ＝３：１でＮＯ
��家族といると安心しますか？ Ａ：Ｂ＝３：１でＹＥＳ
�３慘蓮 。繊筍臓疂从甲佑虜坑汽櫂ぅ鵐醗幣�
４．なぜこういう結果になるかというと、朝ごはんをきちんと食べるということは、夜早く寝て、ご飯の食べられる時間に起きてこられるという生活習慣のしつけが出来ているということ。また、大脳生理学的にも、朝ごはんが学校へ来てからの対人関係や学力の吸収にも影響することが実証されている。
５．国・県の補助金は一年で打ち切られてしまうが、来年度からの３年間は、市の単独事業として「はやね、はやおき、朝ごはん！」の運動を継続してゆく。やはり、こうした運動を通じて、家庭教育におけるしつけということを、保護者の方々によく考えてほしいと思う。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
以上のようなお話でした。多少学校サイドの主張が強く、家庭に自分の子供のしつけの責任を持ってほしいというニュアンスが克っている点を割り引いても、大切な視点を含んでいると感じました。社員のみなさんにも、子供や孫の教育のことを立ち止まって考えていただきたいなと思いました。孫はまだですが、私も考えてみます。
月曜日, 2月 19, 2007, 06:05 AM - 2007年02月
先日、「ご縁です」という東海テレビの番組の取材クルーが、わが羽津本社の近くにある魚屋さん「魚為（うおため）」に来ました。メイン・キャラの西川きよしや、体操のおにいさんが来るとあって、店の周りは、異様な人だかりだったそうです。そんな中、家内はちゃっかり西川さんに握手をしてもらったとはしゃいでいました。まったく、ミーハーもいいとこです。
西川きよしチームは、魚為のあとは、羽津病院（四日市社会保険病院）の近くの「元気のいいおばさんのいる店」に行くのだと聞いたということですが、その店がどこだか夕べやっとわかりました。山手中学校のすぐ西にある「よし乃」という天ぷら屋さんです。
夕べその「よし乃」へ行くと、さしみと鯛のあら煮で焼酎を一杯飲みながら、確かにメチャメチャ元気のいいそこの「おばちゃん」から、取材の一部始終を聞かせてもらいました。おばちゃんは、生まれてすぐに母親を亡くし、親元を離れて親戚の家で育てられ、１５歳からはパーマ屋さんに奉公しながら高校に通った苦労人です。そんな苦労を感じさせない、持ち前の明るさとバイタリティで店を切り盛りする姿がとてもすがすがしくて、私たち夫婦もいつしか、この店の常連さんになっていました。実は、近頃は、年のせいか肉よりも魚のほうが好きになってきましたので、「よし乃」には、よくお世話になっています。てんぷらや、刺身、煮物、焼き物のほか、信州そばなどもあって、私たちはいつも和食アラカルトのフルコースです。マスターの素材選びと腕のよさ、それに、鈴鹿山系の奥のほうまで自然の湧き水を採水に行くというこだわりで、とてもおいしいのですよ。
チーム西川とテレビカメラが入って、一時間ほど料理に舌鼓を打ちながら、結婚式の写真やら、昔おばちゃんが世話になったパーマ屋のご主人が登場するのだそうですが、その前には、２，３度ＡＤが店に来て、入念に打ち合わせをしていったのだそうです。店には、西川きよしとおばちゃんのツーショットの写真がおいてありました。西川きよしはその日のうちに東京に帰るというので、マスターが夜食にと天巻きを差し入れると、「とてもおいしかった」と翌日本人から直接お礼の電話がかかってきたそうです。西川さん、さすがですねえ。
放送は、３月２３日（金）ということですので、この日以降は店が客で一杯になるでしょう。行くのなら、今のうちかもしれませんよ。常連として大きな顔をして行く事が出来なくなるのはちょっと寂しいのですが、馴染の店が有名になるというのは、何かちょっと誇らしげでもありますね。そんなわけで、大量の「天かす」を味噌汁の具にしようとおすそ分けをもらって、家路につきました。
土曜日, 2月 17, 2007, 09:28 PM - 2007年02月
先日のＮＨＫ「クローズアップ現代」で、ブラジル･中国などからの移民労働者が日本で犯罪を犯しながら本国に逃げ帰ったままになっているケースが増えているという問題を採り上げていました。ブラジルはその憲法で犯罪人を外国に引き渡すことを禁じているため、犯罪人の処罰を求める方法は「代理裁判」という、非常に手間と時間とお金のかかる、被害者やその遺族にとってはとてもまどろっこしい方法しかないということが報告されていました。こうした不幸な出来事を防ぐためには移民労働者を厳しく取り締まればいいとか言うような、単純な問題ではないと思います。ましてや、勤勉に働く大多数の移民労働者を、このことゆえに差別するようなことがあってはなりません。私自身は、安易な外国人労働者の雇用や、「外国人研修生」などの活用はあまり賛成しませんが、だからといって、差別や偏見を持っているわけではありません。
私自身も外国で仕事をしていた経験がありますが、異国の地で外国人として生活するというのは、先進国にいても、やはり生活習慣の違いはいかんともしがたく、誠に心細いものです。勢い同胞の友と交わり、愛国心を高めることになります。首都から離れたイギリスの田舎町で生活していたとき、日本人の友人たちと麻雀卓を囲んだことがありましたが、１０年以上その町に住んでいた一人の友人が、マージャンをやりながら、鼻歌で「君が代」を歌いだしたことを忘れることはできません。
日本にいる外国人の方たちも、きっとこの「君が代」の友人と同じように、望郷の念を持ちながら、しかも大企業からの派遣で外国に赴任するわけではなく、安定しない雇用システムの中で生活しているのだろうと想像します。私たちは、本当に彼らを私たちの仲間として、友人として迎えているのでしょうか。それとも、ただ単に「安い労働力」として利用しているだけなのでしょうか。もし、後者であるならば、福沢諭吉の「天は人の上に人を作らず、人の下にひとをつくらずといへり」とは逆に、「人の下に人をつくっている」ということになってしまいます。そのようなことが推奨されるような社会が、公正･公平な社会であるはずがないと考えています。
小泉政権が打ち出した（そして今の安倍政権が引き継いでいる）市場中心主義（官から民へ、民間に出来ることは民間に任せて、小さな政府を実現しようとすること）には、「人間生活の福祉からの逸脱や市場の失敗と呼ばれるネガティヴな効果も否定できない」と元一橋大学学長の故都留重人さんも警告していました。市場中心主義は、効率的な経済の成長には大変大きな力を発揮する一方で、格差の拡大や環境問題など、考慮すべきマイナス要因があるということです。
私は、日本という国が大好きで、日本人に生まれたことを大いに誇りに思っています。それは、外国での生活経験があって、外から日本の良さを見直す機会があったからかもしれません。なかんずく日本人の心に、藤原正彦さんの言う「品格」が備わっている、他人のことを慮る思いやりの深さがあるからであるように思います。「衣食足って礼節を知る」といいますが、最低限の生活が保障されていればこそ、人のことを考えるゆとりも生まれるというものでしょう。経済の成長が優先されるあまり、格差があまりにも拡大するようなことがあってはいけません。
南米のある国では、「車は赤信号で止まってはいけない」と警察が市民に訴えている、という話がある新聞に出ていました。何事かと思ったら、特に夜間には、赤信号で停車すると、そこいらからピストルを持った強盗が押し寄せてきて、身ぐるみはがされたり、誘拐されて命を奪われるというような凶悪事件が多発しているのだ、ということです。貧富の差が激しくなると、まじめに働いて小銭を稼ぐよりは、手っ取り早く金持ちを襲うという輩が増え、世の中が殺伐としてくることになります。こんな社会が明日の日本になるならば、経済成長とは一体何なのか、ということになってしまいます。憲法第２５条にある「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」というのは、単なる飾り文句であってはならない規範であると思っています。
参考文献：都留重人「市場には心がない」２００６年２月岩波書店
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水曜日, 2月 14, 2007, 11:10 PM - 2007年02月
先日、亀山で行われたライオンズクラブ主催の「ライオンズ･クエスト・セミナー」というのに参加しました。聞きなれない名前ですが、内容が非常に良かったので、ご紹介したいと思います。この日は、「思春期のライルスキル教育」というプログラムの実践的な指導を受けたのですが、このプログラムはもともと、ライオンズクラブ国際財団などの支援のもとで、青少年育成支援フォーラムというＮＰＯが小中学生への普及活動を行っています。この日も、わざわざ東京からそのＮＰＯのＦさんが来てくれて、プログラムの内容を実際に体験しながら分かりやすく解説してくれました。
まず、子供が学びたいことと、大人が子供に教えたいこととの間には、次のようなギャップがあると説きます。
子供が学びたいことは・・・
�ー�りの人と仲良く付き合う力
�⊆�分の考えを言葉で伝える力
��困ったときにどうしたらよいか考える力
一方、大人が学校で教えたいことは・・・
�ゞ飢覆隆霑壇�な学力
�∩碓�を判断する力
��自分の考えを表現する力
ライオンズクエスト「思春期のライフスキル教育プログラム」は、学級での授業を中心に、学校、家庭、地域が協働して子供たちに次のような自律して生きる知恵（ライフスキル）を教えるプログラムだということです。
�．灰潺絅縫院璽轡腑鵝Э佑旅佑┐鰺�解し受け入れ、自分の考えを伝える
��感情のコントロール： 自分の感情を認識して適切に表現する
�０媚弖萃螢好�ル： 様々な状況下で責任ある行動を選択する
�ぬ�物への対処： たばこやお酒など、良くない勧めに対処する
�ゥ椒薀鵐謄�ア： 自分の持つ力を人のために役立てる
子供たちは、「自分にとって大事なこと、自分にも出来ること、それに気づいたとき、生き生きと学び始める」といいます。つまり、先生や親から強制されなくても、子供たちは自発的に学ぶ意欲を持つようになるということです。実際、２００５年９月から実践している埼玉県のモデル校では、子供たちの自主性が他校より優れている、集中力・感情の抑制力が優れている、などの効果が出てきているということです。
これは子供たちの成長にとっては、とても大切なことであると思います。教育は、異端を排除することからではなく、多様性の中にこそ学ぶべきことがあるということではないでしょうか。いじめっ子を出席停止にすればいいということではなく、なぜ彼らがいじめに走ってしまうのか、そうしなくてもいい「技術」を彼らに教えてあげることこそが教育の本義ではないでしょうか。また、ダメ教師を排除する前に、先生方に、「ライフスキル教育」というツールを与えて教える技術のレベルアップを図らなければなりません。更にいえば、親御さんたちにも子供の成育に必要な教育の要素を理解してもらう必要があるでしょう。セミナーに参加して、この「ライフスキルの７９の授業プログラム」には、そうした課題の解決に役立つノウハウが詰まっているように感じました。
機会があれば、二日間のワークショップに参加して、実際に指導プログラムを体験してみたいものだと考えています。また、小学生向けのプログラムは、英語の教材がまだ翻訳も進んでいないということだったので、どのような形であれボランティアとして翻訳のお手伝いがさせていただければこの上ない喜びだという私の気持ちも、講師のＦさんには伝えておきました。
参考文献：ＮＰＯ青少年育成支援フォーラム作成のパンフレット『Lions Quest「思春期のライフスキル教育」プログラム』
http://www.JIYD.org
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